24時間オーストラリアへの旅

オーストラリアまで直行便で行けば7時間くらいだろうか。しかし私は超超格安航空券のため24時間かけて行くことになった。ベトナムホーチミンでトランジット。そこで7時間待たされる。時間はある。お金がない。そこでこのチケットを選んだ。しかし、私の手荷物は凄いことになっている。40リッターのバックパックが閉まりきらないくらいパンパンになり、なおかつ、高校の指定バック大(分かる人にしか分からないが…かなりデカイ。)もパンパンになっている。スーツケースは預けたが、預けるまでにも一悶着。ベトナム航空の預ける手荷物の制限は20キロ。そして私の荷物は39キロ…超過料金を払えば大丈夫と聞いていたので、少しくらいの出費はしょうがないと思っていたが、なんと超過分の14キロをメルボルンまで運ぶと6万円を超す事が発覚。断然無理なので、成田航空内の郵便局から荷物を送ることに。郵便局の前でスーツケースを広げる。夫と一緒に重そうなものを取り出していく。これで大丈夫だろうと再びスーツケースを持っていく。はかりに載せるとトトトトト…28.5キロ。これくらいまけてくれるかなと思いきや「あと3キロちょっとですね。減らしてください。」バッサリ…「ここで広げていいですか?」リュックとショルダーバック、ジーパンを二本出す。これでどうだ!と、いざ計量計へ。トトトット…25.0キロ!!ジャスト!!このピッタリ具合には係の人も思わず笑っていた。しかし、随分スーツケースの中がスカスカになったなぁ。郵便局からの荷物は一番安い船便にしたので1ヶ月から2ヶ月かかるらしい。


夫と笑顔で別れ、飛行機に乗り込む。さて、席まで着いたが、荷物入れまで手が届かない。「届かない」って英語でなんて言うんだろう…と思いつつ、乗務員の方を向き声をかける。「I don't…」で止まってしまう。その後はゼスチャーでOK。こんなことでオーストラリア生活は大丈夫なのだろうかとふと心配になる。まぁ、今頃心配始めてもしょうがないかと思い直す。席はガラガラ。窓際の翼より少し後ろの席に陣取る。3席分が私のテリトリーになった。大きいバックは割れ物が入っているので足下に置く。中には茶道の道具が入っている。後部の方で大きな声で話している女性達がいる。甲高い声が徹夜の頭に響く。ずっとこの状況だったら嫌だなぁと思う。なかなか飛行機が飛ばない。
ふと気付くと窓の外は雲一面だった。
あれ………?!?!?!?!
知らぬうちに寝ていたのだ。今どこら辺なのかも分からない。とにかく雲の中を飛行機は飛んでいる。ちょうど回ってきたドリンクサービスで乾ききった喉を潤す。時計を見る間もなく、また眠りに落ちる。次に目覚めた時は窓の外は霧がかかったようで真っ白で何も見えない。随分高い所を飛んでいるのだろうか。少し寒くなって隣の毛布も拝借する。また眠り続ける。目覚めて窓の外を覗くと、陸地が前方に見えていた。半島のような感じだ。ベトナムの地だろうか?もっと手前だろうか。どんな航路なのかもわからない。しかし、いよいよ日本を出たと言う実感が沸いてきて、思わず陸地をカメラに収める。

それからはグングンと陸地が近づいてくる。やがて街並みがハッキリ見て、一つ一つの家々が判別できるようになってきた。車が走っているのもわかる。どうやら街のすぐ近くに空港があるようだ。細い川、太い川をまたぐ。昨年見たメコン川を思い出す。


ホーチミン・タンソンニャット空港についてトランジットの列に並ぶ。こんなデカイ荷物を持っているのは私だけ。1人の男性が係員と話していて、彼がメルボルンに行くと言うことがわかった。するとワラワラとそこにいた数人が彼に歩み寄り「メルボルンに行くんですか?私もです」と話し始めた。私も話しに加わる。7時間の待ち時間は空港使用料14ドルを払えばビザ無しでも出れるようだ。それならば出たいなぁと思うが、街まで出るのにバスかタクシーで3000円かかるらしい。バイクタクシーならかなり安いようだが、なんせ、大荷物だから無理だ。バックパックだけならまだしも、割れ物の入ったデカバックを持ってバイタクに乗る勇気は私にはない。そんな元気もなかった。1人の女性が「良かったわ〜!!仲間がいてホッとした〜1人で7時間もどうしようかと思っていたのよ!!」と大きな声で話している。最初の彼は早々に外に出ると去っていった。彼女のお喋りは続く。申し訳ないが徹夜の私には許容できる心の余裕がなかった。7時間この人のお喋りを聞いていたら、ホストファミリーに会う頃にはとてつもなく疲弊しきっていることだろうと想像し、回避することにした。その場にいた人々に外に出ると告げ、とりあえずチェックインしてからその場を離れる。とにもかくにも手荷物を預けたいと思い、係員に聞くが、そんなものはないとのこと。この段階で私のベトナムショートスティは夢に終わった。
飛行機の中で爆睡していたので昼食を食べ損ねたので、私のお腹は大合唱だ。とりあえず何か食べようとレストランに入る。フォーとミネラルウォーターを買う。重い荷物を降ろし、温かいフォーを食べると体がリラックスした。さて、これから何をするか… 
日本から持ってきた写真の束を種分けしてミニアルバムに入れていく。その後は電子辞書を使いながら、一枚一枚の写真を見せた時にどんな説明をするかシュミレーションしてみた。ブツブツ声に出していたが、マスクをしていたので、傍目からはわからなかっただろう。多分。


17時半に夕食が配られるというので最初のゲートに戻る。そこに先ほどのメンバーがいる。「結局荷物が預けられなかったのでご飯食べてました〜」と悪びれずに言う。ここで配られた食事のまずいこと!!というか何が主食なのかよくわからない。チキンを一つとポテトを数本食べてギブアップ…唯一東南アジア特有の(?)小さいバナナが味が濃くて美味しかった。ヨーグルト、ミネラルウォーターはまともだった。


メルボルン行きであろう人々がベンチに横になっている。ベンチに寝ころんでいる人は全て男性だったが、私も猛烈に眠かったのでバックパックを枕に、バックを手に絡め、ベンチに寝ころぶ。寝心地は悪いが、座っているよりはるかに眠れる。しかし体が痛くなって目が覚める。クーラーも効いていて寒い。
よし!と思い立って、先ほど見つけたスパに行くことにした。

詳しくは書かないが一時間のコースで3200円。もちろん現地の値段にしては、かなりぼったくられているが日本の感覚から言えば非常に満足だ。とてもリラックスしたが、また重い荷物を背負ったら、肩や腰が痛くなった。うーむ効果はあったのだろうか。まぁ、精神的な部分でのリラックスが私には必要だったと思おう。


メルボルン行き21時5分発の飛行機に乗り込む。最初のフライトとは打って変わって、全席満席だ。窓際の席のはずが、行ってみるとカップルが窓際から詰めて座っている。ベトナム人のようだ。大きい荷物を足下におくので、通路側の方がいいかと自分を納得させ座る。夕食を食べなかったのでお腹がすき始める。このまま朝までは辛いなぁと思っていると夕食が配られ始めた!良かった!でもまたまずいんだろうなと思っていたら、まずまずだった。そしてまた眠りにつく。日本の本やガイドブックを持ってこなかったので、他にすることもなく寝た。朝起きて窓の外を見ると朝焼けがとても美しかった。朝食を食べてしばらくすると着陸態勢に入った。
いよいよ私のオーストラリア生活が始まる。