インド人御一行〜我が家に到着

3人のインド人の皆さんは「インド平和軍縮環境保護研究所」のメンバーだ。一番年配の所長さんはすでに8回日本に来ているとのこと。毎年のように核兵器を世界からなくすために日本にやってくるのだ。とても凄いことだと思う。あとの二人の男性は初めての海外、初めての日本だそうだ。だから二人は見るもの見るもの珍しい。対して所長さんは落ちついている。


我が家の最寄り駅に着き、商店街を4人で歩く。かなり小さな商店街なので、大きなスーツケースをガラガラと言わせて(しかも3人分の音!)道行く人はジロジロと、チラチラと見る。私もなんだか大きなサングラスをかけていて、ちょっと何物状態だったんだが、あまり人々の視線に好意を感じなかった。小さな街だからそんなに外国人も住んでいない。ほとんど見かけない。しかし、私が感じたのはもし、欧米人だったら彼らの視線も違った意味が込められたのではないかと言うこと。これは考え過ぎかもしれないけれど、数日彼らと過ごしている中で度々感じた。
しかし私はそんなのには負けない。近所の人に会うたびに、彼らを紹介した。最初は驚いているものの、彼らが原水爆禁止世界大会に参加するために日本に来たのだと知ると、ほとんどの人が彼らに好感を抱き、平和の思いを語り、声をかけてくれて嬉しかった。


さて我が家に到着。私が先に家に入った。玄関で入って〜と言うと…
所長さんが家の玄関の手前で靴を脱ぎ、靴下を脱ぎ始めた。ここまで靴で入って大丈夫だと言ったのだが無心に靴下を脱いでいる。そして二人にも日本の文化として、ここで靴と靴下を脱ぐんだと説明している。私は面白かったけれど、ここまで入っていいし、靴下を脱ぐ必要はないと今言ったら、所長さんの面目をつぶしてしまうなと思って黙ってみていた。おじさん3人が靴下をぬいで靴の中に入れている姿は何とも可愛らしかった。(後々3人には、たたきの所まで靴でいいこと、靴下もはいて上がっていいことを説明した)
そんな日本慣れした所長さんが我が家に入って一番喜んでくれたのが…
障子を開けたとたん「Oh〜!Tatami〜!!」と畳を喜んでくれた。やはり日本の文化ですなぁ。


ひとごごちついて、冷たいお茶を出したら「Oh〜!Japanese tea!」と所長さん。爽健美茶だったので、これは日本茶と言っていいのだろうか…と思ったが、説明する語彙力がなくそのままにしてしまった。すみません… しかし、後から正式な温かい日本茶でおもてなししたので、まぁいいだろう。みんなでちゃぶ台を囲んで色々話す。1時間ほど休憩してから、初めて日本に来た二人が外を散歩してみたいと言い出した。所長さんは疲れていて、少し風邪をひいているようで、休んでいるから、二人に色々見せてあげてくれと言われた。しかし、我が家の周りには何もない…それを言うと、街並みや日本の生活風景を見せてあげてくれればいいとのこと。じゃあブラブラ行くかと出発。まずは玄関で靴下を履き、靴を履く。商店街に古い有名な和菓子屋さんがあることを思い出し、まずはそこに行くことにした。古い作りで、中に入ると小さな和菓子が並べられている。唐突に1人が店主に英語で話しかけた。しかも彼の英語が一番インドの巻き舌訛りがあるのだが、若旦那風の店主もビックリ。「何て言ってるんですか?」と聞かれたが、え…私もわかりません…状態だった。彼にもう一度聞くと、この店は何年やっているかなどの質問だった。もう1人は熱心に和菓子を見ていた。私が、この店はとても古くて人気のある有名な店なんだよと説明すると彼らから色々と質問が出た。店主が何歳なのか?父親の代からやっているのか?全部手作りなのか?などなど 私も知らなかったことが色々聞けた。
金箔が上に敷き詰められた小さな羊羹のようなものを1人が買いたいと言ったので、じゃあ4つと言って私がお金を払おうとしたら、いやいや一つでいい。みんなで分けて食べよう。自分が払うから。と言って結局一つだけ買った。最後にお店の中で店主さんと二人をパチリと写真に収めた。3人ともいい顔をしていた。


さて、後は何もない…でも街並みねと住宅街をテクテク歩く。先ほど唐突に英語で話しかけた彼はどうやらガレージの柵(?ガラガラと引っ張るアコーディオン式のやつ)に興味を持ったらしく、コンコンと叩いたりなでたりして、もう一方の彼に何か話している。そして、ガレージの屋根にも興味を持っていた。だいたいどこの家庭も似たようなものがあるので、ガレージが出てくる度に彼は興味を示していた。日本ではよく使われているよと話すとフムフムと材質が何かと聞かれたが…ステンレス??? ごめん分からない…といったかんじだった。和菓子を買った彼はガーデニングが趣味だと電車の中で話していた。ここら辺の住宅は大抵庭があったりガーデニングをしている。彼の方は木に実がなっていたら、これは何?とか花の名前などを聞いてきた。これもなかなか難しい質問だった。彼の方が花の名前をよく知っていた。途中で住宅街の中にある空き地の雑草を刈っている人がいた。ガーデニングが趣味の彼がすかさず質問してきた。「これは牛に食べさせるために草を刈っているの?」と笑ってしまったが、文化の違いだなぁと改めて思った。家を建てるために草を刈っているんだと説明した。そしてまた草の名前を聞かれたがわからず…しかし猫じゃらしをみつけ説明する。そして、猫じゃらしを反対向きにつかんでぎゅっぎゅっと手を握ると自然と猫じゃらしが出てくる手品(?)をやったら大好評だった(笑)そんな私たちを遠巻きに見ているおばさんたちと自転車に乗ったおじいさんがいる。おじいさんの腕には「子どもを守る地域パトロール」の文字が。さっきから私たちの周りを何度も言ったり来たりしていたのだ。なので、空き地を見終わった後に、挨拶をした。すると「あの土地お宅さんが買ったの?」と聞かれた。どうやらずっと空き地だった所に家が建つと言うことで近所で噂になっているようだ。そして、彼らを紹介した。心配そうなおじいさんのためにも。彼らが広島・長崎に行くと言うことを知ると「ご苦労様」「すごいわね〜」などと話してくれた。


小学校を見せてあげようと思い、またテクテク歩く。中には入れないが、外から見る。そして近くの広い公園へ。
その後家に向かう。自転車屋さんで彼らの足が止まる。外に並べてある自転車の高性能に驚いている様子だった。また材質が気になるようでコンコンと叩いたりしている。中から不審そうな顔をした店のおばさんが出てきた。「あ〜すみません。見ているだけです。彼らはインドから今日来たばかりで珍しいようです。」そしてまた広島・長崎の話をすると、彼女も表情が和らぎ「あら〜そうなの〜 遠いところからご苦労様〜」と。そしてオマケ付き。「私、あなたも外国の方かと思ったわ〜!!」大爆笑。彼らに言うと彼らも笑いながら同意(笑)「そうなんですよ〜タイに行ったら、みんなからタイ語で話しかけられるんですよ〜」なんてお喋りした。


家に帰ると1時間半くらい散歩していたことになる。まぁ何もないところで楽しんでくれたようで良かった良かった。
しかし、所長さんは具合が悪そうで心配だ。
買った和菓子を4つに切ってくれと言うので、金箔がはがれないように包丁を入れる。爪楊枝をさしてお皿に盛り持って行くと、みんな喜んで食べて一様に美味しい美味しいと言っていた。本当に小さなかけらだったけれど、私も何倍も美味しく感じた。


さて、長くなったのでここらへんで今日の所は終了しよう。読んでくれた方、ありがとう。