布団の中

布団の中とは不思議な空間である。
ある時は暖かく包み込み、ある時は冷たく拘束する。


冬の朝、自分の体温で暖かくなった毛布の手触りはとても気持ちがいい。スベスベしていてふんわりしていて。朝の布団の中は大好きだ。顔だけ布団の外に出ていて寒いので、布団の中に頭まですっぽり埋まる。体を丸める。薄ピンク色の毛布に朝日が少しだけ入って、何だか自分が胎内にいるような気分になる。そこには安心感がある。自分が守られているような気がする。


冬の朝、眠れずに過ごした布団の中は、やはり暖かい。頑張って寝ようとするが朝日が邪魔して眠れない。しかし、毛布の気持ちよさを頼りに布団に留まる。


冬の朝、布団の中であれこれと考え始め、とてつもない孤独感に襲われた時、布団の中は、やはり暖かい。しかし、布団の中にいればいるほどに孤独感は募る。頭まですっぽり布団をかぶって真っ暗闇にしても孤独は追いかけてくる。暖かい毛布だけが頼りだ。だが、その毛布が私を孤独に縛り付ける。一人寝込んでいても何もいい考えは浮かばない。孤独が孤独を呼び、気分が憂鬱になるだけだ。


布団はいつでも暖かく抱擁してくれる。そこでどう過ごすかは私次第だ。孤独になってしまった時は思い切って布団から這い出そう。残った気力を振り絞って。布団とは仲良くしていきたいものだ。特に冬の朝の布団の中とは。