眠れない夜の実況中継

一睡もできない夜が時々やってくる。寝る前にあくびがやたらと出る夜は要注意だ。布団に入ってからも、あくびは出続け、「今日は相当眠いんだな。」「これならすぐに眠れるな」と思い目をつぶっている。ハッと気付いたときには、あくびは止まり、頭の中が冴え冴えとしている。思い切ってつぶっていた目蓋を開けてみる。眠いときの、あのまどろんだ感じの目ではなく、ぱっちりと見開く目。やばい。これは今日は眠れないぞと覚悟する。


眠れない夜は、以外とすぐに過ぎ去る。私は時計を見なくてもだいたい何時頃かを知ることができる。基本的にずっと目は閉じている。
布団に入り眠れないなぁと思っている時、原付がブィーンと家の前の道を通り過ぎる。それがだいたい2時半過ぎ。配達の為に配達所に迎う原付の音だ。
3時半になる。今度は前の道を原付が家々に泊りながら配達しはじめる音が聞こえる。1時間はあっという間だ。
我が家の裏の道を原付が通り過ぎる。それがだいたい四時半。
そして我が家の裏に自転車がキッと音を立てて止まり、数十秒後に我が家のポストにボスンと新聞が入る音がする。それが5時前後。
一時間ずつがあっという間にすぎて驚いてしまう。眠れないなーとか色んなことを考えているうちに時が過ぎてしまう。布団を出て何かしようかとも思うが、もしかしたら眠れるんじゃないかと、わずかな眠気に一縷の望みを託して布団の中で眠る努力をする。もう眠れないのはわかっているんだが努力する。どんな努力かって?そりゃあ「羊が一匹…」に始まり、夫が編み出した睡眠療法(これは夫にやってもらわないと意味がないのだが)自分で編み出した睡眠療法(やっても眠れてないから睡眠療法とは言えないね(^o^;)や自己暗示にかける方法など色々試すが惨敗。
すやすやと隣で眠っている夫の顔を見る。気持ち良さそうに寝息を立てていたかと思えば、ギリギリギリと歯軋りをしたり、うなったりしている。彼はよく寝ながら歌も歌ったりする。
そして六時ごろ、また原付の配達の音が聞こえる。六時半を過ぎると雨戸を開ける音が聞こえはじめる。随分朝が早いんだなぁと感心する。
七時過ぎると色々な音が交じり合ってくる。裏の家の人の声や窓を開ける音、通勤する人の足音。八時前は走っていく人が多い。遅刻寸前なのかな?などと呑気に考える。
ある日八時すぎに馬が走っている音がした。テレビとかで聞くボカッボカッボカッという音。もちろん我が家は草原の真ん中にあるわけないので馬が走っているはずはない。何の音だろうと耳を澄まし想像をめぐらす。よーく聞いていると足音も聞こえる。わかった!小学生が走っているんだ。馬の足音は走るたびにランドセルが上下にゆれて中身が上下する音だ。確かに私もあんな音させて毎朝走ってたな〜なんて懐かしくなる。
8時から8時半までが非常に長く感じる。8時半は夫が起きる時間。彼の目覚ましが鳴るまでジリジリとした気持ちで待つ。目覚ましが鳴ってもなかなか起きない夫の隣で早く起きないかなーと待っている私。けなげだわ(;_;)
彼が起きると、やっと私の寝る努力も終わる。一緒に起きて出勤するか、休みならテレビを見ながら朝食をとるか。それか眠るか。←この時間になるとなぜか眠くなる。


つまらん実況中継に付き合って頂いてありがとう。