父の日

本を買いにデパートに入った。さかんに「父の日には…」と陽気なメロディと共にキチャッチフレーズが流れている。「父の日かぁ。」と思う。母の日を思い出す。プレゼントは用意したが渡せず、電話だけした。父の日はどうしようかと思う。あ、父はいないんだと思う。そんな私は随分間が抜けていた。
本を買って駅に向かう道すがら「父がいない」という事実に打ちのめされる。「父の日」に感謝したい人がいない。悲しみの渦が体の奥からわき上がってくる。泣きそうになる。でも泣かない。考える。父がいないと言うことについて。父がいないという事実が私にはまだ受け入れられない。
父の日を私はどう過ごそうか。心から父に感謝したい。